【古事記】をわかりやすく楽しく読もう!【ニニギの結婚と海幸彦・山幸彦 】#9

彩雲(さいうん)です。
私のブログを訪れてくださり、ありがとうございます。
前回は天孫降臨(てんそんこうりん)とサルタビコのお話をさせて頂きました。
天孫とはアマテラスの孫のことでしたね。

前回の記事をまだお読みでない方はリンクを貼っておきますので、お読みになってくださいね。

【天孫降臨と猿田彦】#8

今回は、ニニギが絶世の美女コノハナサクヤヒメに一目ぼれをして結婚するお話からです。

それでは始めましょう!

コノハナサクヤヒメとイワナガヒメ

コノハナサクヤヒメ (イラストACより)
イワナガヒメ
(イラストA C)

ニニギは笠沙(かささ)の岬=現在の鹿児島県野間岬(のまみさき)で、絶世の美女コノハナサクヤヒメと出会いました。

ニニギは一目惚れをし、コノハナサクヤヒメの父オオヤマツミに結婚を申し込みに行きました。
オオヤマツミは山の神でイザナキとイザナミの子供になります。

コノハナサクヤヒメは【桜の花が咲き誇るように美しい女神】という意味の名前です。

オオヤマツミはアマテラスの孫であるニニギの申し出をとても喜びました!
たくさんの結納品を用意し、姉のイワナガヒメも一緒に嫁がせました。

家同士の結婚という事で、当時は姉妹が1人の男性に嫁ぐ姉妹婚はよく行われていたそうです。

しかし、姉のイワナガヒメの容姿はコノハナサクヤヒメと正反対で、醜かったので、ニニギはひと目見るなり突き返してしまいました。

オオヤマツミが娘二人を嫁に出したのには理由がありました。

妹のコノハナサクヤヒメは花の神姉のイワナガヒメは石の神です。
二人の娘がニニギの妻になれば、石のように長く命が続き、桜の花が咲き誇るように栄えるでしょうという理由から二人一緒に嫁に出したのです。

イワナガヒメを追い返してしまったので、神の御子にはこれ以降、代々限りある寿命が与えられました。

コノハナサクヤヒメ妊娠と出産

しばらく経ったある日、コノハナサクヤヒメはニニギに妊娠を告げると、ニニギは今まで一夜限りしか交わりが無いのに妊娠するはずがないと思いました。

そして「私の子ではなく、別の神の子ではないか?」とコノハナサクヤヒメに告げてしまいます。

疑われて怒ったコノハナサクヤヒメは「この子が国つ神の子であれば無事生まれず、あなたの子であれば無事生まれるでしょう!!」と言い残して立ち去りました。
まさにアマテラスとスサノオの誓約(うけい)と同じ、宣言をしました。

アマテラスとスサノオの誓約(うけい)の話はリンクを貼っておきます。

【イザナキの禊〜誓約】#2

出産の時をむかえ、コノハナサクヤヒメは出入り口の無い産屋(うぶや)に入り、自ら火を放ちました。
燃えたぎる炎の中で、無事出産をし、ニニギの子供であることを証明しました。

こうしてホデリ、ホスセリ、ホオリの三柱の神が無事生まれました

海幸彦と山幸彦

イラストACより

ニニギとコノハナサクヤヒメの3人の息子たちは青年に成長しました。

長男のホデリは海の獲物を獲り海幸彦(うみさちひこ)と呼ばれ、三男のホオリは山の獣を狩って山幸彦(やまさちひこ)と呼ばれていました。

次男のホスセリは話には出てきませんので、何をしているか分かりません。

弟のホオリは海の漁に興味があり、兄のホデリに提案します。
「お互いの道具を交換してみない?」

しかし、兄のホデリは何度もお願いしても道具を交換をしてくれませんでした。

弟のホオリはそれでも諦めずお願いして、少しの間だけ渋々交換してもらいました。

ホオリは喜んで早速借りた道具で釣りをしに行きました。
しかし全然釣れません。あげくの果てに竿を引き上げた時、大事な兄の釣り針がなくなっていました。

そこに兄のホデリが来て、「そろそろ道具を返して!!」と言いました。

弟のホオリは正直に針を失くした事を話すと、兄は許そうとせず、「早く返せ!!」と迫るばかりでした。

そこでホオリは自分の十束剣(とつかのつるぎ)を多くの釣針に作り直して償おうとしましたが、受け取ろうとせず、「自分の元の針を返せ!!」と言うのでした。

塩椎神(シオツチガミ)に助けられ海神(ワタツミ)の宮へ

海に沈んだ釣り針を返せと言われても、どうすることもできないのでホオリは海でしばらく泣いていると、潮の神シオツチが現れ泣いている理由を尋ねてきました。

ホオリが事の経緯を話すと、「それなら海の神が解決してくださるでしょう!」と言い、竹かごを隙間なく編み込み船を作ってくださいました。

ホオリをこの船に乗せて「私がこの船を潮に流しますので、流れに乗って行くとウロコのような屋根があるワタツミの宮殿に着きます。そこの門のそばにあるカツラの木に座っていれば、泉が見えるので様子を見て待ってください。
そうすれば、ワタツミの娘が出てきて助けてくださるでしょう。」と言いました。

イラストACより

ホオリはシオツチに言われたとおり、潮の流れに乗り、ワタツミの宮殿に着きました。
シオツチの言ったとおりにカツラの木に座っていると、ワタツミの娘の侍女が水をくみにやって来ました。

ホオリは水が欲しいと侍女に言うと、容器に水を入れて渡してくれました。

すると、ホオリは水を飲まないで首にかけていた玉を口に含み、その容器に玉を吐き出し玉は容器から離れなくなりました!

侍女は急いでトヨタマビメの元に戻り、事情を説明しました。

事情を聞いたトヨタマビメは不思議に思い、ホオリを見にやって来ました。

イラストACより

二人は出会った瞬間に恋に落ち、父である海の神ワタツミに「とてもうるわしいお方がいました。」と伝えました。

するとワタツミはホオリが天孫であると知り、とても喜び大いにおもてなしをしました。

二人は結婚をし、3年が経ったある日のこと、ふと兄の釣り針のことを思い出し、深いため息をつきました。

それを見ていたトヨタマビメは父のワタツミに相談しました。

ワタツミはホオリに理由を尋ねると、兄の釣り針を失くし許してくれない事を告げました。

ワタツミは海にいるすべての魚を呼び集め、釣り針のありかを知っている者がいないか尋ねました。

すると、どうやらノドにトゲが刺さっている赤鯛がいることがわかり、その赤鯛を呼んで調べると兄ホデリの釣り針がひっかかっていました!!

いらすとやより

こうして3年もの月日を経てやっと兄の釣り針を探し出すことができました。

ワタツミは釣り針をホオリに渡し、この釣り針を兄に渡す時にある呪文をとなえるように教えました。
そして後ろ手で渡せば、3年以内に兄は貧しくなるだろうと言いました。

また、満潮を起こす潮盈珠(しおみつたま)と干潮を起こす塩乾珠(しおふるたま)という玉を授けました。

ワダツミは海の魚たちを呼び寄せて、「陸まで早く送れるものはいないか?」と聞くと大きなサメが「1日で送れるよ!」と名乗り出たので、サメがホオリを送ることになりました。
ホオリはサメの背に乗って1日で陸まで帰って来ました。

ピクサベイより

ホオリはサメにお礼を言い、サメに小刀を紐につけて首に巻いてあげると、サメは喜んで帰って行きました。

そして兄のホデリに会いに行き、ワタツミに教えられた呪文を言い、後ろ手で釣り針を返しました。
すると兄は日増しに貧しくなり、心がすさんで弟の元へ攻め込んで来ました。

弟のホオリはワタツミにもらった潮盈珠(しおみつたま)を使い、ホデリを溺れさせて、ホオリが謝ってきたら塩乾珠(しおふるたま)を使い助けました。
これを何度も繰り返すとホデリはとうとう屈服しました。

そもそもお互いの道具を取り替えてほしいと言ったのは弟のホオリで、兄が嫌がっても無理やりお願いして少しの間という条件で交換してくれたのに、釣り針を無くしてしまいました。
どちらがそもそも悪いのでしょうか?

トヨタマビメの出産

ピクサベイより

ホオリが故郷に戻ったある日、トヨタマビメが1人でワタツミの宮殿からホオリを訪ねてきました。

トヨタマビメはホオリの子を身籠り、出産が近づいて来たので、天つ神の子は海の中でなく、陸地で産むべきと思いわざわざやって来たのです。

ホオリは鵜の羽根を使って産屋(うぶや)を建て始めましたが、まだ完成前に産気づいてしまいました。

トヨタマビメは産屋に入りホオリに言いました。
「この子を産む時は、私も元の姿になりますので、決して産屋の中を見ないでくださいね!!

しかし、トヨタマビメの忠告も聞かず、ホオリは壁の隙間からこっそり覗いてしまいました。

ホオリの目に映ったのは巨大なサメが苦しみ、のたうち回っている姿でした。

驚いたホオリは、逃げ出してしまいました!

この見ないでと言われても見てしまう話は、以前にもイザナミが黄泉の国(よみのくに)でイザナキに言ったのにやはり見てしまう話と同じですね。
見てはいけないと言われると見たくなるのでしょうね。

無事に出産後、トヨタマビメはホオリが覗いて逃げたことを知り、恥じて子供を産屋に残したまま、ワタツミの宮殿に帰ってしまいました。

しかし、我が子を思い、妹のタマヨリビメに育ててもらう事にしました。

この子は鵜の羽根を使った未完成の産屋で産まれた神という意味の名でウガヤフキアエズと言います。

成長したウガヤフキアエズは、育ての親である叔母のタマヨリビメと結婚し、四柱の御子(みこ)をもうけました。

その子は、イツセ、イナヒ、ミケヌ、ワカミケヌであります。

末っ子のワカミケヌは後にカムヤマトイワレビコとなり、初代天皇である神武(じんむ)天皇となります。

ま と め

ピクサベイより

いかがでしょうか?
今回のお話はニニギとの結婚のため父のオオヤマツミは、コノハナサクヤヒメとイワナガヒメを嫁がせました。

しかし、イワナガヒメが追い返されてしまい、その後、代々神の御子は寿命があるようになりました。

山幸彦(ホオリ)のお話の中で、ワタツミの宮殿を訪れトヨタマビメと結婚し、3年過ごした後、故郷に帰ったところは、浦島太郎のモデルになったと言われています。

そして、ここでも見てはいけないと言われても見てしまい、別れることになりましたね。

その後、この時生まれた子ウガヤフキアエズはトヨタマヒメノの妹であるタマヨリビメに育てられ、なんとその叔母のタマヨリビメを好きになり、結婚することになりました。

この年の差カップルから4柱の神々が産まれ、末っ子のカムヤマトイワレビコが次回のお話の主役になります。

それでは今回はこれまでとなります。
次回もお会いしましょう!

 

 

 

 

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